爆発直前〜鈴木魂中編〜。


お客さん入場時のBGMはラッツ&スターでした。


何故か?、ボーカルの名前は?…そう鈴木繋がり。


誰も気付かないわな、で、このくだりは最後に又使われる。


横壁スクリーンに映し出されていたのは、この後登場となるチョップリンの初VHS作品であり、1000本限定という貴重な代物だったりする。


2003年ABCお笑い新人グランプリ受賞した時の記念作品でもある。


これを流しとけば、この後チョップリンが出る事への良き流れにもなると思ったのであっててな感じで。


そして、我々は夜7時舞台袖に到着。


コヤマスーな僕は、お腹に巻いたSCOOBIE DOチャンピオンベルトタオルが激しい締め付けで気持ち悪くなる。


後、緊張もしていた。


玲子は肝が座ったのか、堂々としている。


夜7時5分、チョップリンが板に付き、BGMが落とされ、SEが鳴る。


SEはQueenWe Will Rock You」。


このSEは何にするか相当迷って、やはり盛り上げないといけない。


その上、今までのチョップリンのSE、要は出囃子を色々ライブハウス出演時選んできた経験として、本人たちが知っている曲がいいと思ったのだ。


夏場ふと西野君が口ずさんだ事があって、それで決める。


事前に手拍子足拍子で盛り上げて欲しい旨も伝え、小林君が担当してくれる事に。


幕が開く前から小林君は手拍子足拍子を始めてくれていて、その姿を袖で見ていて思わず感動して泣きそうになる。


ただ、後から聞いたら「早めにしとかんと幕開いてからやったら遅れてまうやん」という事だったのだが…、いややっぱこれはたまらなく嬉しかった。


お客さんも盛り上がって自然に手拍子が起こる。


小林君が西野君に手拍子足拍子を催促したりして、盛り上がる。


最高のスタートダッシュだ。


さっきまでの緊張を忘れ、袖でゲラゲラ笑う。


コール&レスポンスも挟みつつ、コントへ。


チョップリンとは僕と西野君の弟が中学時代の同級生だったという地元の縁でずっと仲良くしてもらっているのだが、彼らはコント師である。


本格的コントをする彼らが、こういう場で盛り上げ役をやってくれるというのは絶対に面白いと思っていた。


6月の心斎橋クラブクアトロでのミドリイベント、チョップリンはMCで登場して一生懸命盛り上げてくれた。


それにはミドリや僕や多くの人が、チョップリンがアグレッシブに攻める姿に爆笑して感動した。


その思いがあったのと、やはり僕と深い繋がりがあるという事、それから舞台を大切にしている人というのが今回のMCにふさわしいと思っていた。


玲子が出るなら尚更、面識があるチョップリンが最適だと思っていた。


それと絶対にコントはやってほしかった。


個人的に好きな「影」をリクエストさせてもらった。


袖で観ていて思ったが無茶苦茶ウケていた。


「西野君、最近影薄いな」…、その台詞は何度聞いても大好きだ。


とにかく、チョップリンのMCつかみは大成功。


コント終わり、いよいよ我々親子の出番だ。


西野君が「ここで今回の主催者、ライター鈴木君と産湯こと鈴木オカン玲子(62)の登場です!」と振ってくれ、出囃子でLed Zeppelin「移民の歌」がかかる。


ブルーザ・ブロディーの入場テーマ曲でもあり、我々プロレス好き親子が昔から大好きな曲だった。


気合を入れて出る。


わぁ〜ホンマにお客さん一杯パンパンやん…、それが正直な感想だった。


一気にテンションが高まる。


両手をあげると出囃子は鳴り止んだ。


「こんばんは、ライター鈴木淳史です。本日はご来場、誠にありがとうございます!」とそう叫ぶと、温かい大きな拍手が返ってきた。


よし、ここからだ。


西野君がツッコむ、「っていうか、誰やねん!」。


じっと横で黙って立っている玲子なだけに、お客様も笑う。


「いやいや、オカンの玲子じゃないですか! 僕を産んだ人ですよ!」なんて言ってたら、玲子が顔を隠し始める。


そして、前日に思いつきで作った玲子写真巨大看板をステージ後ろに忍ばせておいたので取りにいき、玲子の「顔の前に出す!」。


「これ音泉魂のパンフや雑誌にも載ってたやないか!」と西野君。


非常にいい感じだ。


西野君を睨み、小林君には笑いかけるなんていう小ネタを挟み、玲子は喋らないまま諸注意へとうつる。


元を言や、男湯兄さんが「玲子さん出しましょうよ!」などと悪ふざけで言ってくれ、僕はすぐ承諾。


産湯なんていう屋号まで男湯兄さんと考え、まんまと演者さんとして発表した。


もう本当に知り合いから知らない人まで問い合わせがめちゃくちゃ大きかったキャラだけに、これはガッツリかましてやろうと思って考えたキャラが一言も日本語を喋らず、いきなり喋りだしたと思ったらフランス語という彼女の学生時代からの特技を活かしたキャラだった。


西野君とも一緒に詰めて考え、僕が諸注意を読む段階で側に寄ってきて、携帯電話所注意を言い終わったら、いきなり玲子がフランス語を話し出すという流れが出来た。


男湯兄さんのリハ時のナイスアイデアで、ミラーボールが回り、エコーがかかるという気持ち悪く艶っぽい演出も。


玲子がフランス語を話し出した瞬間、西野君がすぐツッコみ、予想以上にウケた。


安心してダイブモッシュ禁止諸注意もやり、ラストの諸注意。


「最後の諸注意は一番重要な内容です。最近、ライブ中のチカンが多発しています。本当に絶対やめてください。チカンアカン!」と僕が言うと、「チカンジャメ!」と玲子が叫ぶ。


何度も親子で繰り返し、チョップリンも巻き込みお客様300人を巻き込んで「チカンジャメ!」コール&レスポンス。


300人がチカンジャメ!と叫ぶアホすぎる光景、数回繰り返し、西野君が叫ぶ「SUZUDAMAスタートです! トップバッターはミドリ!」。


また、それをしつこく玲子が訳し、西野君がツッコむ…、最高に楽しい瞬間だった。


何はともあれ、演者3組の足を親子で引っ張らずにすんだと安心する。


楽屋へあがるとSCOOBIEミドリ一同がチカンジャメ!を大絶賛してくれる、いやぁ良かった良かった。


西野君小林君に大感謝である、2人が完璧な空気を作ってくれて、僕ら親子を後押ししてくれた。


これで、もう大丈夫だ。


時間を少し置き、ミドリが始まる。


玲子をカウンターバー内へ案内し、僕は楽屋へ戻りモニターに観ながら、すぐ幕間企画の打ち合わせにチョップリンと入る。


隙を観て何度か下にも足を運ぶ。


ここで一気に書き上げるつもりだったが、これを中編にしよう。


とにかく時間無制限1本勝負の対バンが始まった。


先攻はミドリ。


ってことで今度こそ後編へ続く。