冬のユリゲラー。

カレーハウス CoCo壱番屋が近所にオープンしたと、作業場の連中が喜んでいる。


みんな、オープン記念に特製スプーンをもらったと大喜びしている。


「ちょいと貸してみな」と若手女子からスプーンを取り上げ、ひょいと曲げてみせる。


小学生の頃に覚えたスプーン曲げ。


超能力などと大したものではなく、コツがあるのだ。


何故か急に曲げれるようになって、「芦屋のユリゲラー!」と自分で騒いだものだ。


「曲がれ!スプーン」という映画が流行っているとはいえ、僕のスプーン曲げに対する評価は変わらない。


「ひぇ〜!!」とスプーンを曲げられた若手女子が悲鳴をあげるので、「どうだ!」と思った矢先…、若手女子が「指紋が付いたじゃないですか〜!」と怒っている。


慌てて元に戻して、種も仕掛けもない事をわからせるためにスプーンを確かめさせるが、「曲がらないですね、凄いですね…。それより指紋!」とまた怒っている。


特製スプーンを持っている他の若手にスプーン曲げをアピールするが、「凄いとは思いますけど…指紋嫌!」と誰もスプーンを貸そうとしない。


超能力<指紋…、おかしな話だ!


こちとらキレたら、もう勢いが止まらない。


スプーンはなかれど、フォークを探し出してくる。

無理やり若手を見つけ、種も仕掛けもない事を確かめさせて、いざ!

どーん!


「凄いですね。結構、指紋付きますよ」と若手。


全くウケない。


同世代年下男子が呟く、「鈴木さん、そういう時代じゃないですよ」。


関係ないやろ!、映画ウケとるやないか!


長澤まさみちゃんが可愛いからです!」と若手女子。


ユリゲラーや清田君の苦しみがわかる気がした。


皆様もお試しあれ。


お後がよろしくないようで。