立ち振る舞い。

落語家のちょいとしたドキュメントを観る。

 
頭角を現わしてきたお弟子さんが、大師匠との念願の落語会を開く。


会場に早くから入り、準備に必死なお弟子さん。


ぴりぴりしてる。


そりゃ、そうだな。


念願なんだもん。


ところが数日前から大師匠体調悪く、開催が危ぶまれる。


何とか開催にこぎつけたものの、どれくらい大師匠ができるかわからない。


だから、余計にぴりぴりしてる。


そんな中、ようやく大師匠楽屋入り。


何とかご挨拶と打ち合わせと思いきや、ここでとんでもない障害が…。


大師匠、最近は中々落語をやらないもんだから、ここぞとばかりに友達たちが集まる。


これまた、そのジジイたちが偉そうで常識なく行儀悪く礼儀正しくないから堪ったもんじゃない。


自分たちが大師匠と知り合い、だから楽屋にも来れる関係というのに酔ってるから、たちが悪い。


弟子が打ち合わせしたがっているのに、一切空気を読まず、大師匠のケータリングに手を出しながら、だらだら喋っている。


弟子の存在に気が付いたと思いきや、その弟子に駄目出しまでする始末。


まぁね、大師匠も悪いっちゃ悪いんだけど、やっぱ演者というのは天然だし、何も考えずに優しくしちゃいますから。


弟子は「なんやねん!」と友達たちに思っていても、大師匠の友達だから中々言えない。


決して良い友達と言えないし、大師匠が、その友達のせいで損もしちゃう。


大師匠の職場を荒らしている事に気が付かない、友達たち。


友達であれば、友達の職業を理解してあげないとね。


まぁ、これはかなり高いレベルの世界の話だけど、どのジャンルでも、どのレベルでも、演者と友達の関係は存在するし、こういう光景はよく見られる。


実際、僕も鈴木魂以前に催していたイベントで、楽屋を演者の友達に占拠され、お金ない中、必死に演者に用意した自慢の弁当を食われた苦い想い出がある。


自分自身も楽屋や打ち上げに出入りする身だからこそ、演者に迷惑をかけない損をさせる泥を塗る立ち振る舞いを常に気をつけないといけない。


かっこいい演者のファンはかっこいいファン、かっこいい演者のスタッフはかっこいいスタッフ、かっこいい演者の友達はかっこいい友達…、そうあってほしいものだ。


春雨の夕暮れ時、ふと、そんな事を想った。


おあとがよろしいようで。