くるりのこと。

約10か月ぶりの更新…、随分と書けなかったものだ…、我ながら呆れ果てる。


文章で何とか飯を喰わせて貰ってる僕は、仕事で書く文章が精一杯で中々余技のブログに手が届かない。


『余技の文章は息抜きになるからスラスラ書けますよ〜!』なんて…素敵に器用な感じには絶対なれない。


ふわっと日常で思った事を、良い意味で何でもない事を書こう…そうは想っても本当に意味のない事は書く気になれない。


何でもなさ過ぎる明るくて楽しくて元気な文章なんて、僕が書く必要はないから。


くだを巻く暇があったら、さっさと書きなさいってね。


こんだけ書いといて、書き下ろしではない文章を書こうというのだから怖いものだ。


そうなんです、4年前の7月の話を少し修正して再掲載するんです…。


くるりの心斎橋クラブクアトロでのお話です、まぁ、まずは読んで頂ければと。


『心斎橋クラブクアトロで、5人組になったくるりを観たのだ。


くるりの岸田さんと佐藤さんは僕の1学年上で、90年代後半の思春期真っ盛りな学生時代にリアルタイムで聴いていたバンド。


もちろん今も聴き続けていて、去年(2010年)初めて取材でお逢いできた。


やっぱり昔から大好きな人というのは、逢うと緊張する。


全てのアルバムを持っていて、全てのインタビューも読んできているし。


そう言えば、自分が好きな演者さんは、どこか全て一貫している。


何かしら天邪鬼で世間を斜めから見ていて、絶対、人と同じ事をしないヒネクレ者。


でも、誠実で常に自問自答をして悩みあがきもがいている。


この日のライブは、1曲目「ブレーメン」から何かようわからんけど、涙が出てきた。


音楽であろうとお笑いであろうと芝居であろうと、僕は生で鑑賞する時、始まりの瞬間のキラキラしたパワーに、いつもやられてしまう。


キャリア約15年あるバンドが未だに進化をし続け、また新しい事に挑戦しようとしている、その姿、そして新人バンドみたいな瑞々しさがたまらなく良かった。


でも、やってる曲は昔から聴いていた曲だ。


「この曲は、あのアルバムだ」、「その頃はこんな事があったな」、「あの時の恋人や友達は?」…、まるで写真のアルバムを見ているかのように色々と想い出す。


音楽って、そういう魔法があるから素敵だ。


学生時代に既にクアトロでライブをしていて、いかにそれがステータスだったか、でも、それをいかに普通に当たり前の感じで人に言っていたかなんていう、ふたりの若気の至りがMCで話されたりする。


それは下北沢に対しても。


「下北って意外と普通の街やで」なんてスマシ顔で言ってたというMCに、「わかるわかる」なんて思いながら笑う。


最後の曲は当時クアトロで「ピカピカの新曲です」と言って歌った覚えがあるという「東京」。


その頃、ちょうどくるりは京都から東京へ拠点を移す時だった。


当時のインタビューで強烈に覚えている事がある、岸田さんが「上京」と言わなかった事。


「上京やないよ、東下りやから」


当時20歳でビンビンにいきり立っていた僕は、その言葉でビンビンに興奮して、いかにも自分の言葉のように「東下り」なんて使っていたな。


その話を先日の取材でお話をしたら、爆笑された。


いやぁ、でも当時あの言葉は、とんでもなくかっこよかった。


そんな事を思い出しながら、「東京」を聴いていた。


98年に気持ちよくタイムスリップさせてくれる。


大人になったふたりが、でも昔の歌を歌っても、違和感なくて逆に説得力があって…。


終わってフロアでボーっとしてると、僕より10個下くらいの顔見知り若手女子を見かけた。


男子と一緒だが多分、その女子と同い年くらいだろう。


若々しく、また瑞々しい2人だ。


恥ずかしがりの僕は声をかけないでおこうとしていると、向こうからお声をかけて頂く。


明るい顔で明るい声で、「元恋人なんです!」と屈託なく紹介される。


「あぁ、何かいいなぁ〜」って、33歳のおじさんはキュンキュンなってしまった。


ふたりは多分、今日のライブを聴きながら、「この曲は付き合ってた頃に2人で、よく聴いてたな」なんて思ったりしていたはずだ。


何かしらタイムスリップをしたはずだ。


「今は仲の良い友達なんです!」と屈託なく話してくれる。


くるりの魔法にかかっている僕は、「素敵じゃないか!」なんて又もやキュンキュンしてしまった。


普段なら人の色恋沙汰なんて全く興味ないんだけどね。


ふたりは、何事もなかったかのように普通に仲良く帰っていった。


電車の中で、「あの曲が良かった!」とか話しているんだろうな。


音楽には魔法がある、嫌な思い出も、一瞬、良い思い出に彩ってくれる魔法がある。


だから、くるりって好きなんだ。


センチメンタル好きの僕は、「いかにも、くるりらしい出来事だな」とひとり満足しながら大量の原稿が待つ作業場へと帰っていった。


この感じわかるかな、わかんねーだろなー。


今年の夏は暑くなさそう…、久しぶりに、そんな事を言いたいものだ。


僕は大人になっているんでしょうか?、知らねーよバーカ!…なんつうて。


おあとがよろしいようで』


いやぁ〜、4年ぶりに読み返したが、実に青いし、情けながら、今とあまり思考が変わっていない。


まさしく、「King of 感受性」…。


いや、何でね、こんな昔の文章を引っ張り出したかというと、6月9日火曜日にABCラジオ『よなよな〜なにわ筋カルチャーBOYZ〜』(夜10時〜深夜1時)を、くるりの楽曲とくるりの話のみで180分OAするんですよ。


まぁ、告知だよね。


で、また多分ここに綴ってあるような話を懲りずに喋くり倒すんです。


そういや、あの時にあった若いカップルふたりは元気だろうか?


ともかく、全てのカルチャーボーイズ&ガールズに捧げる180分にします。


37歳の僕も相変わらず、こんな感じですわ。


今年の夏は暑くなさそう…おあとがよろしいようで。